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事例紹介

2025.11.18

愛媛

遠隔診断で支える医療 地域の安心を未来へ

JCHO宇和島病院
地域包括ケアの要として
愛媛県・南予圏域の救急医療を支える一角、独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)宇和島病院。1948年(昭和23年)に宇和島社会保険病院として開院し、2014年(平成26年)4月に社会保険病院・船員保険病院・厚生年金病院が統合されてJCHOが誕生してからは現在の名称で運営している。
JCHOの理念は、「地域の住民・行政・関係機関と連携し、地域医療の改革を進め、安心して暮らせる地域づくりに貢献」することだ。一般病棟199床(うち回復期リハビリ病棟50床・地域包括ケア病棟48床)を有し、健康管理センター、介護老人保健施設、居宅介護支援センター、訪問看護ステーションといった附属施設を併設。地域に根ざした病院として、病気の予防から急性期医療、回復期リハビリ、在宅医療・介護支援や介護福祉までシームレスなサービスを提供している。
高齢化が進む地域の病院として、患者が住み慣れた土地で生活していけるよう、整形外科とそれに関連するリハビリテーションには特に力を入れている。自分の足で歩けるかどうか、痛みを感じることなくスムーズにからだを動かせるかどうかは、生活の質に大きく影響する。変形性膝関節症や変形性股関節症などの関節疾患では人工関節置換術に積極的に取り組み、侵襲ができるだけ少ない手術を目指している。
また、初診から手術、回復期リハビリ、退院後のリハビリまで、転院することなく完結できることも大きな特長だ。広々としたリハビリテーション室のほか、全国的にも数の少ないリハビリ専用のプールも院内に完備しており、浮力を利用した関節への負担の少ないリハビリも実施している。
DXの取り組み
現在、病院の業務改善として、電子カルテやオンライン請求、オンラインでの資格確認、スタッフの勤怠管理など、事務におけるDX化に全体で取り組んでいる。院内ネットワークでも、スタッフ間の情報伝達や会議などの予定管理などが行われている。また、看護師の人手不足を補うため、病棟内において転倒・転落防止のための見守りセンサー導入を検討中だという。
JCHO宇和島病院
遠隔画像診断の活用
画像診断の現場においても、人手不足は深刻な問題だ。どの診療科においても、安全で効果的な治療をするために正確な病状の把握や病因の特定は必須である。CTやMRI、エコーなどの画像診断は、客観性が高く低侵襲であり、現在の医療においてますます重要性を増している。しかし、画像診断のエキスパートである放射線科医の数は限られているため、どうしても常勤の放射線科医を置けるのは大規模病院のみとなってしまっているのが実情だ。
JCHO宇和島病院では一般撮影装置、X線TV装置、CT、MRI、マンモグラフィ、骨密度測定装置などを備えているが、転勤等でかつていた常勤の放射線科医が不在となった。
もちろん、整形外科などの診療科の医師も自分の専門の範囲であれば読影でき、JCHO宇和島病院でも週3〜4日は非常勤の放射線科医が在院しているが、それで全ての画像診断をカバーするのは難しい。その不足を補うべく、愛媛県画像診断支援センターによる遠隔画像診断システムを導入することになった。
JCHO宇和島病院
人手不足の大きな助けに
JCHO宇和島病院で撮影されたCTやMRIの画像は、専門医が自分で読める場合や非常勤の放射線科医がいる時は院内で読影し、読みきれなかったものと放射線科医不在の日に撮影したものについては支援センターに送り、所見をつけて返送してもらっている。
遠隔画像診断は月70件程度であるが、撮影から所見が届くまで平均して2〜3日、早い時には翌日には仕上がっており、さらに1時間でも早く診てほしいという緊急の場合は個別に対応してもらえる。支援センターの放射線科医は、画像診断のエキスパートであり、専門的な読影を行ってもらうことで、JCHO宇和島病院に働く医師も安心して検査をオーダーすることができ、大きな助けになっているという。
夜間休日の対応が課題
とはいえ、やはり常勤の放射線科医がいる場合と比べるとどうしてもタイムラグが発生する。特に、件数はそれほど多くないものの、夜間・休日に救急で一刻も早く処置をしなければならない患者が来院した時。現在の遠隔画像診断支援システムでは、やはり夜中の2時や3時にも即時対応してもらうというのは難しい。そもそも常勤の放射線科医がいたとしても、1名だけであれば24時間365日の対応もなかなか厳しい。夜間休日の救急での画像診断の対応や診断の精度を上げるための2重読影対応は、今後のとなっている。
JCHO宇和島病院
これからも地域医療に貢献するために
JCHO宇和島病院では、今後電子カルテを新しくするタイミングで、介護老人保健施設などを含めた病院全体のシステム統合を視野に入れている。現在メーカーも異なる別のシステムを利用している施設が全てひとつのシステムで動くようになれば、さまざまな業務がよりスムーズに流れるようになるだろうと考えている。
また、システムや端末、セキュリティなどを管理する専門の職員を配置・育成する必要も感じている。
JCHOはセキュリティに厳しく、愛媛県画像診断支援センターに画像を送る際も一度USBにデータを移し、それを別に設置した外部接続用のパソコンにつなげてからパスワード付きで送付しているという。これがそのままオンラインで送れるようになれば、タイムラグや手間を削減できる可能性が高い。
そして将来的には、地域の医療施設が連携し、患者の了承のもとカルテや医療情報などをオンラインでやりとりできるようになれば、より質の高い医療を提供できるのではないかと考えている。
これらを実現するためには、より高いセキュリティのネットワークが必要だ。つまり、ICTに明るくセキュリティやメンテナンスを安心して任せられる人材が不可欠ということだ。
職員のワークライフバランスを健やかに保ちながら、安心で質の高い医療で地域住民の健康と生活を支えるため、JCHO宇和島病院は未来を見据えて歩みを進めている。
JCHO宇和島病院

独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO) 宇和島病院
院長 渡部 昌平 様

JCHO宇和島病院

副院長 矢野 達哉 様

JCHO宇和島病院

診療放射線技師長 麻田 毅 様

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